ビオフェルミンの散剤が発売されるようなのでちょこっと整理しておきます。
ビオフェルミン散って今までも発売されてたジャン?って思った方、結構いると思います。ビオフェルミンは完全に罠ですので押さえておきましょう。まぁ、大事には至らないですが。ラクトミン・糖化菌 (ビオフェルミン配合散)
ラクトミンは腸内で増殖して、乳酸などを産生して腸内細菌叢を正常化します。
糖化菌はアミラーゼを産生して、デンプンを糖へ分解します。乳酸菌はデンプン
を分解できませんから、乳酸菌が増えるためのエサを産生する感じですね。
ビフィズス菌 (ラックビーN微粒・錠、ビオフェルミン散・錠)
ビフィズス菌は乳酸や酢酸を産生して腸内細菌叢を正常化します。
ビフィズス菌・ラクトミン (ビオスミン配合散・錠)
ビフィズス菌が乳酸や酢酸、ラクトミンが乳酸などを産生し腸内細菌叢を正常化
します。
酪酸菌 (ミヤBM散・錠)
腸内病原菌の発育抑制、整腸作用。酪酸菌はClostridium属ですので、同族の病原
菌の餌と競合するという仕組みです。酸は作らない。
ラクトミン・糖化菌・酪酸菌 (ビオスリー配合錠・配合散)
説明不要。全盛り。
耐性乳酸菌 (ビオフェルミンR、ラックビーR)
抗菌薬存在下でも増殖できる乳酸菌。でもニューキノロン、ペネムなど比較的新
しめの薬剤には適応を持たない。
各論はこんな感じですが、ビオフェルミンは成分が3種類存在しますので、きちんと末尾まで確認して処方&調剤しましょう。まぁ、大事には至らないですが・・・
余談ですが、酸は腸内環境を整えると同時に、腸管蠕動を促進する役割もあります。ですが、酪酸菌は酸を作りません。腸管の蠕動運動は促進しませんので、便秘気味に対する整腸剤としては不向きかと思われます。たまにミヤBM+カマ+大建中湯・・・といった処方を見ますが、ウーン、一言いうべきか迷ってしまいますね。Clostridioides diffcile予防ならまだわかるのですが、その既往もない、抗菌薬も投与されていないなら変更した方がいいのかなと個人的には思います。
また、耐性乳酸菌製剤も対応していない抗菌薬に併用していることがたまにあります。そういう場合は酪酸菌の方がいいのかな?と思います。生菌は死にますが、芽胞は残りますので。
そんなこんな考えてると、とりあえずビオスリーでいいんじゃない?と思ってしまいますが、当院での処方頻度は低い方です。古典的ではありますが、専門家はなかなかいない分野です。ちょっと見直してみませんか?